神道の知識

神道(しんとう)は、日本の宗教。
神道の起源はとても古く、日本の風土や日本人の生活習慣に基づき、自然に生じた神観念とされております。
山や川などの自然や自然現象、また神話に残る祖霊たる神、怨念を残して死んだ者などを敬い、それらに
八百万の神を見いだす多神教でございます。自然と神とは一体的に認識され、神と人間とを取り結ぶ具体的
作法が祭祀であり、その祭祀を行う場所が神社であり、聖域とされました。
神道の知識

1.神社の始まりは何ですか?
神様をお祀りするところは古代からありました。しかし、最初から現在のような社殿があったわけではありません。古代、大木や巨岩或いは、山などは、神様が降りられる場所、鎮座される場所と考えられてきました。そして、それらの周辺は神聖なる場所とされました。やがて、そこには臨時の祭場を設けるようになり、さらに雨風をしのぐためといった理由などから、建物が設けられていきました。そして、中国の寺院建築などの影響も受けながら、今日のような神社の形態になったのです。

2.参拝の作法について教えてください
まず鳥居をくぐる前に一揖(いちゆう)をします。一揖とは、浅いおじぎを一回することをいいます。次に手水舎の水で両手を清めて、口をすすぎます。神前に向かう道を参道といいますが、その中央は正中(せいちゅう)といわれ、神様の通り道とされているので、そこを避けて歩くことが神様に対する礼儀とされています。
神前に於いては二拝二拍手一拝の作法にて拝礼します。ちなみに拝(はい)とは 深いおじぎをすることをいい、二拍手とは拍手を二回することを言います。
これが参拝の基本作法ですが、二拝二拍手一拝の前後に一揖(いちゆう)を加えていただくと、よりいっそう丁重な作法になります。

3.氏神(うじがみ)と産土神(うぶすながみ)との違いについて教えてください
日本全国の神様には、様々な神様が祀られています。その中でも「氏神」と呼ばれる神様は、とりわけ私達の日常生活に関わりの深い神様といえるでしょう。氏神とはもともと古代社会に於いて血縁的な関係にあった一族がお祀りした神様(一族の祖先神或いは守護神)をいいました。しかし、中世に於いては土地の神様、つまり鎮守(ちんじゅ)の神様である産土神(産土とは生まれた土地という意味で、その土地を守護してくれる神様)までが氏神と混同されるようになりました。そうしたことから、必ずしも氏神は祖先神或いは守護神を祀るばかりとは限らなくなったのです。
尚、氏神と対になる言葉に「氏子(うじこ)」があります。古代社会に於いては 氏子は氏神を祀る氏族の子孫を意味しましたが、現在では神札の祭祀(さいし)圏内に住んでいる方々を「氏子(うじこ)」とよぶようになっています。

4.「祭り」という語源はどういう意味ですか
そもそも「祭り」という語源は、何を意味していたのでしょうか。その語源については、「神様に仕えマツル」の「マツル」であるとか、同じ祖神を同胞が「マツリアウ」からであるとか、「神様の訪れをマツ」の「マツ」という語が関わっているなど諸説があります。いずれにしても、お祭りとは神様をお招きして、饗応(きょうおう)のご接待をすることをいい、それは神様と人との交流の機会でもありました。かつては神様に奉仕することが主であったお祭りが、やがて神様に祈願をするようになり、そして願いが叶うと感謝の気持ちを表すお祭りを行うようになりました。こうして祈願と感謝のお祭りは、絶えることなく繰り返し続けられてきて今日に至っているのです。

5. 着帯(ちゃくたい)を戌(いぬ)の日に行うのはなぜですか?
「着帯の祝い」とは胎児の健全な発育を願い、妊婦が白布の腹帯(岩田帯)を締める お祝いです。懐妊五ヶ月目の戌の日を選ぶのは、犬のお産が軽い(安産)ということにあやかりたいという願いからだといわれています。ところで「安産祈願」とは 無事な出産を神様に祈る儀礼ですが、この祈願を着帯の祝いの日に合わせて行うことが多いようです。祈願の際には、一般的に各地の産土(うぶすな)神社に参拝します。
しかし、安産の神様としてしても名高い神社には遠方から訪れる人もおります。

6.初宮詣(はつみやもうで)は生後何日目にするのですか?
「初宮詣」とは、親子共々出産という大事を、神さまのご加護によって無事に終えたことの奉告と、子どもの健康と成長、そして今後のご加護をお願いするために神社へ参詣する人生儀礼の一つです。地方により多少違いがあるようですが、普通は男児が生後三十二日目、女児は三十三日目に参詣します。初宮詣には子どもに祝い着を着せ 夫の母(姑)が抱くのが習慣になっています。 しかし、最近ではそういった古い習慣にこだわらない人も増えてきました。
また、何日目というのもひとつの基準であって、どうしてもこの日にしなければならないというものでもありません。まず、赤ちゃんの健康を第一に考えるべきでしょう。

7.お食い初め(おくいそめ)は生後何日目にするのですか?
一生食べ物に不自由しないようにとの願いを込め、誕生した子どもに初めて食べ物を与える(真似をする)儀式を「お食い初め」といいます。地方により多少違いがあるようですが、生後百日目、または百二十日目に行います。この頃になると、子どもにも歯が生え始めることから、その成長を願う意味もあるのです。この日には新しい茶碗や汁椀、そして皿などを用意し、そこに赤飯と尾頭付きの魚、そして歯が石のように丈夫で堅くなるようにとの願いから小石が添えられることもあります。

8.祝詞(のりと)をわかりやすく説明して下さい
祭典時に、神さまへ奏上する言葉が「祝詞」です。祝詞は万葉仮名で書かれていて、内容としては、まず神名と神徳をたたえてから、お祭りの趣意を申し上げ、そしてご加護をいただけるように祈るのが一般的です。祝詞の語源については、諸説がありますが、一説によると「宣り処言(のりとごと)」を省略した語といわれ、神さまの御言葉を宣り下す処という意味があるとされています。つまり、もともとは神さまが、神聖な場所から私達に言い聞かせる御言葉だったようですが、これが後には反対に、私達が神さまに奏上する言葉へと変わりました。古来、我が国の祖先達は、言葉には霊魂が宿ると考える、言霊(ことだま)信仰をもっていました。ですから、神さまに申し上げる言葉は、必ず神さまに通じると確信していたことでしょう。
祝詞の文体には末文が「・・・・白す(まをす、もうす)」で終わる奏上(そうじょう)体と「・・・・宣る(のる)」で終わる宣命(せんみょう)体の二種類がありますが、現在では多くが前者の奏上体で書かれています。

9.家相について簡単に説明してください。
家相は人相と同様に、古代中国におこったもので、方角と間取りの関係、敷地の形や方角、家の形などから吉凶を判断するものです。たとえば次のように吉凶が判断されています。

■ 門の前に大きな木があるのは災いを招く。
■ 中庭に樹木や水たまりなどを設けるのは大凶  
■ 古井戸をむやみに埋めると耳目に祟る
などなど・・・・。

ところで、我が国では凶の方角としてとかく「鬼門(きもん)」が重視されています。
鬼門とは、北東の方角のことで陰陽道(おんみょうどう)では諸鬼の出入りする危険な所として、万事に忌み嫌われています。今日でも鬼門にあたる方角には。便所や出入り口、また神仏を祀ることを忌む風習が残っています。 いずれにせよ、建物の新築、改築等の場合には地元の神主に一度相談したほうが良いでしょう。

10.神社神道の死生観について説明してください。
神道は、祖先を崇敬する信仰が基になっています。氏族の氏神(うじがみ)として崇敬し、祖先を自分たちの守り神として崇敬します。このように人は死後、 家族や親族を見守る霊となって祖先神の仲間入りをすると考えらます。 この人と神の連続性は、神道の大きな特徴といえます。
江戸時代の豊受大神宮(とようけだいじんぐう)の祠官であった、中西直方は 『死道百首』の中で、「日の本に生まれ出にし益人(ますひと)は、神より出でて神に入るなり」と詠んでいます。これは、祖先の神々から出たものは、やがて一生を終えると祖先の神々の所へ帰っていくのだという意味であり、この歌は 実に明確に日本人の死生観を表しています。つまり、日本人の生命は、祖先から自分へ、自分から子孫へと永遠に「血」と「心」の連続を形成するのです。
いいかえれば、これは霊魂の不滅、霊魂の引き継ぎともいえるでしょう。
そして、私ども日本人の「霊」は仏教でいうような十万億土にいくのではなく、我が家、我が郷土、我が国に留まって、祖神と共に子孫の繁栄を見守り、子孫からのお祭りをうけるのです。

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